その他

新型コロナ 財政支援策

新型コロナウィルスの流行による影響は日々深刻化し、私たちの日常生活・ビジネスに多大な影響を及ぼしています。政府機関は経済の著しい停滞を防ぐため、各種経済支援策の提示を行っております。

弊社では、当Websiteにおけるアップデートのみならず、Facebookによる下記グループを作成し、最新の情報をニューヨークの経営者の方々と共有できるよう努めております。関心のある方は是非グループにご参加ください。シェアも歓迎しております。https://www.facebook.com/groups/1534894870021836/

政府機関は、新型コロナウィルスで損害を受けている小規模事業者等に対して、様々な支援策を講じておりますが、ここでは特に多くの方に該当する連邦及びNYCの制度を2つずつご紹介致します。飲食業界や宿泊業界等のサービス業に限らず、多くの事業者が該当する可能性がございますので申請をお考えの方は是非ご参照ください。

支援プログラム概要

(1) Economic Injury Disaster Loans (EIDL)

従業員500人未満の会社又は個人事業主に対して、今回の新型コロナを含む災害時に提供されるローンです。今回は、特別措置として、申請後1週間程度で$10,000が返済不要の助成金として付与されることが最大の特徴です。

(2) Paycheck Protection Program(PPP)

従業員500人未満の会社又は個人事業主に対して、給与や家賃等の一部支払いを補填するために一部返済免除条項の付された借入制度です(借入上限$10,000,000)。

(3)NYC Employee Retention Grant Program:(受付終了済み)

従業員数5人未満で売上が25%以上減少した事業者を対象として,従業員の雇用維持のために2か月間給料の40%を補助する(上限$27,000)助成金制度です。

(4) NYC Small Business Continuity Fund:(申請受付一時停止中)

従業員数100人未満で売上が25%以上減少した事業者を対象として,収益を補填するために最大75,000ドルまで無金利ローンを提供する制度です。

Economic Injury Disaster Loans詳細

EDILは、新型コロナのために特別に設けられた制度はなく、本来ハリケーンなどの災害時に提供されるローンになります。今回の新型コロナもそのような災害に同等すると判断され、新型コロナで影響を受けた事業者は、当該プログラムを適用できることになりました。

■プログラム適用可能事業者

親会社及びその他の関連会社を含めて従業員が500人以下の企業、もしくはSBAが規定するSmall Businessの要件を満たす事業体。SBAが規定する事業体は、各産業ごとに人数又は売り上げによる基準が異なるため詳細はリンクをご参照ください。

※日本に親会社があるような会社は、親会社の従業員数も原則含まれます。

■借入条件

借入条件は申請者の経済状況により異なります。最大$2,000,000の借入が可能で、返済期間は最大30年、ローン返済開始まで12か月の猶予が与えられます。但し、その間の利息は発生し、金利は最大で3.75%です。

PPPと異なり、運転資金として利用することが可能なため、PPPや助成金のみでは足りない方、既存の借入金利が高くリファイナンスをお考えの方にはとても有効です。

■特別措置

今回申請される方が最も注目されている部分が、この特別措置です。上記借入に加え、Emergency Advanceという制度が追加され、申請後3日以内(実際は1週間程度)に返済不要の助成金として$10,000が付与されます。こちらは、仮にその後の借入の審査が通らなかったとしても返済が免除されるため、実質的には該当する全ての小規模事業者が$10,000を受領できることになります。但し、予算が限られており、First come first serveであることが予想されるため、申請をお考えの方はすぐに手続きをすることが推奨されます。

■申請方法

SBAの以下のウェブサイトより申し込み致します。

https://covid19relief.sba.gov/#/

■申請期間

2020年3月30日から2020年12月31日

■提出書類

– EIN

– 売上及び原価金額(2019年2月1日から2020年1月31日)

– 設立年月日

– 2020年1月31日時点の従業員数

– 銀行口座情報

助成金$10,000の申請については、比較的少ない情報の提出のみで完了致します。$10,000を超える借入については、追加の資料の提出が要求されます。

Paycheck Protection Program詳細

新型コロナの影響を受けたSmall Business向けに、SBA (Small Business Administration)が運営管理者となって提供される雇用維持を目的とした借入プログラムです。このプログラムの最大のメリットは、借入を一定期間における給与や家賃支払い等に充てた場合、当該金額については返済が免除される点です。つまり、名目は借入ですが、実質的には借入額の全部又は一部が助成金と同様の扱いとなります

■プログラム適用可能事業者

親会社及びその他の関連会社を含めて従業員が500人以下の企業です。但し、飲食業、宿泊業はロケーション毎のカウントになります。申請対象者の制約があまりなく、広範囲な事業者が適用可能となっております。

■借入条件

返済期間は最大10年、金利は最大4%となります。SBAにより保証されるため、別途保証人を立てたり個人資産を担保に入れる必要はありません。また、借入開始から少なくとも6か月間は返済を開始しないことができます(最大1年)。

■借入限度額

10Mドル又は以下の金額の少ないほう。ほとんどの企業が下記の方法になります。

直近1年間の平均月次給与関連費用金額 * 250%

すなわち、年間の給与関連費用金額が48Mドル以下の企業は全て上記計算方法で算定された金額が借入上限となります。もし1年前にビジネスを開始していなかった場合、2020年1月及び2月の平均月次給与関連費用金額が適用されます。また、個人事業主の方はNet Profitが対象になります。

※上記EIDLのEmergency Advanceの$10,000の借入をしている場合、上記金額に足されます。

■返済免除可能額

借入開始日以降8週間の間に発生した以下の費用につき、借入金額を上限として返済が免除されます。但し75%以上を給与関連費用に充てる必要があります。なお、免除額は、タックスリターン上は非課税扱いになります。

(A) 給与関連費用(給与、給与税、健康保険料含む)

(B) オフィス家賃

(C) モーゲージに掛かる利息(元本支払いは除く)

(D) 水道光熱費

但し、8週間における平均従業員数が以下のいずれか(選択適用)の人数よりも少ない場合には、その人数の減少割合に応じて返済免除額が減額されます。

– 2019年2月15日から2019年6月30日までの平均従業員数

– 2020年1月1日から2020年2月29日までの平均従業員数

また、既存従業員の給与を25%超減額した場合も返済免除額が一部減額されます。

なお、Annualizeした給与が$100,000を超える部分についても返済免除は適用されません。

※上記EIDLのEmergency Advanceの$10,000の借入をしている場合、上記免除額から控除されます。

■申請方法

4月3日より申請が開始されています。SBA提携の金融機関のサイトに行き、オンラインで申請することになります。大手金融機関のほとんどが対象になりますが、銀行によって枠が限られており、既に口座等を持っている企業のみを対象としているところもあります。申請から承認までの期間は金融機関により異なりますので、それぞれの金融機関へお問合せ下さい。弊社でも承認事例がでましたら追加の情報をご共有致します。

 

※参照用に原文のリンクを貼り付け致します。より正確な情報を閲覧されたい方はこちらをご参照ください。

原文:https://www.congress.gov/116/bills/hr748/BILLS-116hr748enr.pdf

 

NYC Employee Retention Grant Program詳細

*当プログラムは4月3日午後5時をもって受付が終了されております。

従業員への給与支払いをニューヨーク市が一部負担してくれる制度です。雇用を続ける限り、返済義務のない補助金ですので、該当する可能性のある事業者が申請を行わない理由はございません。

■必要条件

以下の全ての条件を満たす必要がございます。

  1. ニューヨーク市に拠点を有する
  2. 新型コロナウィルスにより売上が25%以上減少
  3.  従業員数が1人から4人
  4.  6か月以上事業を運営している
  5.  税金の滞納、係争案件がない

■売上の減少

新型コロナウイルスにより売上が25%以上減少したことを証明する必要がございます。比較対象期間は、新型コロナウイルスによる影響を受けた後の2020年の2か月間(2020年1月、2月又は3月のうち2か月間)の平均と以下の両期間となります。

– 2019年の同期間における平均売上

– 2019年平均月次売上

※2019年1月時点で事業を開始していない企業についての証明方法については明示されておりませんが、事業開始時点からの月次売上を開示することで代替することになると思われます。

■提出書類

上記必要条件を満たしていることを証明するため、以下の書類を提出する必要がございます。

  1.  2020年の2か月間の売上を示す財務書類
  2.  2019年の同期間の売上を示す財務書類
  3.  2019年通年の売上を示す財務書類
  4. 直近2か月の給与レポート
  5. 署名付きParticipation Affidavit(新型コロナウイルスによる影響を受けたことを宣誓するもの)
  6. 銀行口座情報(Void Check又はBank Statement)

※財務書類としては、point-of sales reports、bank statements、quarterly sales tax filings、2019 tax returns、又は CPA-certified profit & loss statementsが例として挙げられております。

■申請方法

上記提出書類の準備が整いましたら、以下のサイトより申請手続きを実施致します。上記全ての書類をオンライン上でアップロードする必要がございます。きちんと書類が整ってから申請手続きを開始ください。

https://www1.nyc.gov/nycbusiness/article/nyc-employee-retention-grant-program

NYC Small Business Continuity Fund詳細

上記NYC Employee Retention Grant Programと異なり、返済義務のある借入になります。返済義務があるものですので、事業計画や返済計画を作成した上での申請が必要になります。また、貸し手のニューヨーク市としても返済可能と思われる事業主にしか貸付は行わないため、上記NYC Employee Retention Grant Programに比べると審査の基準が厳しくなります。但し、無利息で借入ができることは非常にメリットが大きいため、該当事業者で今後もニューヨークで事業を営まれる意思のある方は是非申請をご検討ください。

なお、貸付期間については未公表となっております。情報のアップデートがあり次第本記事も更新致します。

■必要条件

  1. ニューヨーク市に拠点を有する
  2.  少なくとも2年間事業を運営している
  3.  新型コロナウィルスにより売上が25%以上減少
  4.  従業員数が100人未満である
  5.  返済能力がある
  6.  税金の滞納、係争案件がない

■売上の減少

上記NYC Employee Retention Grant Programと同様です。

■提出書類

上記必要条件を満たしていることを証明するため、以下の書類を提出する必要がございます。

  1. 2020年の2か月間の売上を示す財務書類
  2. 2019年の同期間の売上を示す財務書類
  3. 2019年通年の売上を示す財務書類

但し、未だ申請の第一段階に過ぎず、NYCの提携期間による本申請に関する案内が追って申請者に対してくることになっております。未確定ですが、上記書類に加え、返済能力があることを示す書類の提出が要求されます。例えば以下のような書類の提出が要求される可能性がございます。

– Credit Score Report

– 返済計画書

– 2019年のキャッシュフローがポジティブであることを示す書類

■申請方法

上記提出書類の準備が整いましたら、以下のサイトより申請手続きを実施致します。上記全ての書類をオンライン上でアップロードする必要がございます。きちんと書類が整ってから申請手続きを開始ください。

https://www1.nyc.gov/nycbusiness/article/nyc-employee-retention-grant-program

 

弊社Univis America LLCでは、米国で事業を営む会社が可能な限り当該プログラムを有効活用できるよう、公認会計士が申請に必要な資料作成や申請手続きをサポート致します。ニューヨーク州以外の州の企業にもサポートを行っております。タックスリターンの時期と合わせて本件に関する問い合わせが増加している時期ですので、弊社を通して申請をお考えの方はまずはEmail(info@univis-america.com)にてお問合せください。

Source:

https://www1.nyc.gov/…/busin…/covid19-business-outreach.page

https://disasterloan.sba.gov/ela/Declarations/DeclarationDetails?declNumber=6063499&direct=false

監修者

小林 賢介

早稲田大学政治経済学部を卒業後、
有限責任監査法人トーマツのグローバルサービスグループ部門に入所。
2015年8月よりDeloitte NYに駐在。
その後、ニューヨークにて
UNIVIS AMERICA LLC(Univis US)を立ち上げ、同所長に就任。